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ヴォイド オブ ニッポン 77 – 戦後美術史のある風景と反復進行

東京 / 2022 / 展示会場構成

GYRE表参道で催された展示の会場構成。2022年は戦後77年で、明治維新から太平洋戦争終結までが77年となる。つまり日本人の身体性が近代化と戦後とを等分に経過したことを意味する。展覧会では戦後美術を主に扱いながら、ロラン・バルトの「表徴の帝国」における日本的空虚をメインテーマとして、作品が選ばれている。
ギャラリー入口には黒い発砲スチロール製のゲートをレイヤー状にたて、その日本的空虚が漂う展示世界への象徴的な境界をつくった。発砲スチロールは98%が空気でできているため、そのヴォイドな物質性が展覧会テーマと親和があると考えた。
ところで発砲スチロールを構成するスチレンの分子構造はリモネンやアセトンといった有機溶剤に触れると結合して、融解する特徴を持つ。その分解と結合を繰り返す特徴を活かした構造体を考えた。
具体的には、高さ3mを超える5つのレイヤを同材の筋交いで連結し、自立させる。そこに除光液を吹き付け、発砲スチロールを溶かしていく。各レイヤー上で筋交いにあたる部分のみテープで保護することで、それ以外の部分がドロドロになる。比重が低い発砲スチロールだからこそ可能なリダンダンシーの高い構造によって、自立限界の緊張感と非物質的な表象を実現した。